2010年9月

建築家のデザイン・スタイル.4(住宅編) by川嶋玄

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[写真説明]:ゲートをくぐる様にして入る玄関アプローチ、赤茶色の玄関扉、エクリプスがモチーフのステンドグラス、添えられた植栽(ハナミズキ、つた類)

建築家のデザインスタイル.4 by 川嶋玄

ケーススタディー:イエローハウスの場合
(デザインの過程を箇条書きにしてみました。)

【 a. デザイン発想のヒントになるもの 】

○遊び心を呼ぶヒント :

黄色の外壁という建築主の希望
暖炉を付けたい⇒つまり煙突が立つ
ステンドグラスを付けたい

○親しみやすさとプライバシーの両立というテーマ :

東京の下町という、親密な近隣関係の立地

○RC造で建てたいという条件 :

重くならずに、やわらかい表現を。

【 b. 求めるイメージは、 】

+ 遊び心溢れる、
+ やわらかく、親しみやすい、
+ しかも適度なプライバシー感覚。

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[写真説明]:雑然とした下町の風景に挿入されたヨーロッパ風の小住宅

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[写真説明]:玄関アプローチから見上げる大きなガラス窓、ポリカーボネートの雨よけ。

【 c. 全体のデザインテーマを決める 】

*  ヨーロッパの *
*  小さな町に  *
*  あるような   *
*  若い家族の   *
*  住む家     *

【 d. 具体的なデザイン手法は、 】

造形 :RCのマス(矩形)と壁を組み合わせる。重くならずに、優しくて、立体感にメリハリのある形。
色彩 :黄色をベースに、茶・緑・ピンクをあしらう色彩感覚(扉、手すり、庇、まぐさ、タイル)
素材 :コンクリートに木を組み合わせて、優しさの素材感。(木の扉、手すり、庇)
遊び :ポリカや鉄の工業部品も、遊び心のある形。(ポリカの庇と鉄パイプの支柱)
気心 :コーナーには植物を配して、近隣とのコミュニケーション感覚を生む。

こんな具合にして、イエローハウスのデザイン誕生でした。[

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[写真説明]:カラフルなイタリアンタイル貼りのキッチン

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[写真説明]:トルコグリーンの壁タイル、空の見えるトップライトつきの浴室。

 

エコ住宅をつくろう

2010年9月7日建築談義

『エコ』といっても、いろいろなやり方があるんです。
特に私の実践している中から、

A.【 高断熱高気密派 】
B.【 自然を生かそう派 】
C.【 最新テク派 】

と分けて説明しましょう。

 

A.【 高断熱高気密派 】
読んで字のごとし、建物の断熱性と気密性を上げる手法。冷暖房の効率を上げることが目的です。コストパーフォーマンス良く、重点項目から採用しましょう。

A1⇒ まずはガラス
断熱性で大事なのは、いちばん目が窓です。普通サッシの住宅の場合、70%の熱(暖房の暖気、冷房の冷気)が窓から逃げてしまいます。ですから少なくともペアガラスは採用すべきです。ペアガラスは、2重ガラスの間に中空層があって熱を通しにくくなります。いわば魔法瓶効果ですね。

さらに、Low-Eタイプのガラスを加えれば、相当な性能が発揮されます。Low-Eとは、輻射熱を運ぶ赤外線や遠赤外線をシャットします。目に見えない輻射熱って、馬鹿に出来ません。夏場だけではなく、冬場の室内の暖かさも逃がしません。最近の電車って、窓に日除けのブラインドが付いてないこと、ご存知でした?かわりに、Low-Eガラスを採用しています。少し緑がかっている窓ガラスがそれです。

上記のペアガラスとLoe-Eガラスの組み合わせで、ガラス越しに出入りする熱や冷気を半分以下に抑えることが出来ます。

旭硝子の商品ページ
日本板硝子の商品ページ

断熱性への貢献はガラスに比べて小さいのですが、結露防止を主眼として断熱サッシも有効です。

A2⇒ 2番目は屋根の断熱
これはもっぱら夏場の強い日差しをガードします。直射日光下では、屋根の表面は60℃にもなることがあります。1階より2階のほうが暑いという経験、ありますよね。また、日本瓦やコンクリートなどでは、昼間の熱が夜まで残ってしまう状況もあります。従って、十分な断熱材と同時に、熱をためない素材や外断熱工法を使う事も大事です。

A3⇒ 高気密とは、計画換気が前提。
断熱などで冷気暖気を保っても、換気で余分に冷気暖気を逃がしてしまってはいけません。従って、人の生活に必要な適正量の換気が必要になるのです。家全体の、或いは部屋全体の空気の流れをきっちりシミュレーションして、適切な位置に適切な容量の換気扇を設置しましょう。

 

B.【 自然を生かそう派 】

高断熱高気密派が冷暖房時の効率を目指すのに比べ、自然を生かそう派は、冷暖房をなるべく使わないように、或いは使う時間を少なくするのが目的です。

B1⇒ 大地の温度を使おう・・・基礎断熱工法
大地の温度は、四季を通じて安定しており、15℃~17℃です。ただし、地表面は大気の温度や日射に影響されてしまいます。
古い民家の土間の台所が、夏でもひんやりしているのを体験したことはありませんか?古い家の台所は、日射の影響を受けない北側に配置されています。その為、大地の冷房機能が働くのです。これを現代に生かすのが、基礎断熱工法です。

B2⇒ 風通しをよく考えた窓の配置・・・これは説明要らないですね。プランニングの基本です。

B3⇒ 南向きの窓と深い庇・・・太陽の低い冬は日が入り、太陽の高い夏は日が入らない。窓の高さ寸法に対して、1/3~2.5程度の庇の出が適当です。先人の知恵ですね。

B4⇒ 落葉樹を植えよう・・・夏季は生茂る緑が日射を遮ってくれます。見た目にも涼しげですね。冬季は葉が落ちて、暖かい日差しを遮りません。

B5⇒ パッシブソーラー(冬)・・・ダイレクトゲイン:冬の太陽は低いので、日差しが部屋の中までよく入ります。そこで部屋の窓際を縁側のようにして、その床に熱容量の大きい素材を使います。たとえばコンクリートに濃色の石やタイルを張ります。この部分が、昼間のうちに日射で温められて、夜まで暖かさを保つという方法です。

B6⇒ 日差しは窓の外で遮るのが効果的(夏)
日の入る窓にカーテンやブラインドを付けて日除けにしますね。この場合、日射でカーテンやブラインドが温められて、結果的に室内に熱が入ってきます。

そこで昔から重宝がられているのがヨシズです。ヨシズが日射で熱くなっても、部屋の外ですから室内の温度には影響が少ないのです。ところが、安価なヨシズですが、その分長持ちもしませんし、いまどきのモダンな家にはデザイン的に似合いません。

あまり知られていないのですが、外部用のシェイドやブラインド。なぜか、あまり普及していませんが、これはお勧めです。我が家でもオーダーサイズのシェイドが夏の日除けに活躍しています。

※あまのじゃく川嶋のエコに反する建築の定石

⇒ 日の入らないほうが良い部屋もある。たとえば書斎やアトリエ。安定した北の窓の光で、物事に集中できるから。
⇒ 北の窓のほうが眺望は抜群に良い。展望台などで北と南の景色を比べると分かります。つまり、南は逆光になり北は順光になるためです。
⇒ 西日、というより夕日が入るのも悪くない。エコ云々を超えて、自然を感じる”ココロ”でしょうか。

 

C.【 最新テク派 】

⇒ ソーラー発電・・・吉永小百合さんのCMにイチャモン付ける訳ではありませんが、初期コストを考えると躊躇してしまいます。200万くらいかけて、果たして元が取れるんだろうか?もう少し様子見したほうが良いのでは?・・・・

⇒ LED照明・・・60Wタイプ(消費電力11w)が約4000円。寿命が白熱球の40倍なので、コストとしては良いところまで来ています。もう少しすれば、3000円、2000円となってゆきそう。さらに、各メーカーも頑張って照明器具の種類を増やしています。品ぞろえが増えてくれば、明るさ調節の調光機能なども含めて、使い勝手も改善してゆきます。

以上、参考になったでしょうか?
快適エコライフを楽しんでください。

パティオのある家を作ろう

2010年9月6日建築談義

Patioという言葉は、もともと伊語であり、西語です。
これらの国のオリジナルのパティオは、長い歴史をかけて考案されたものです。住宅などの中庭に緑を配し、回廊をめぐらせ、パティオ周囲の部屋は外向きではなくパティオに向けて作られます。そんなオリジナルのパティオにヒントをもらいながら、日本のパティオについて考えましょう。

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[写真]室内側とパティオの床は同じタイルで仕上げています。これでとてもつながった空間になります。

■ パティオを作ると良い事、2つ。

1.【密集地でも、プライバシーを守りつつ、快適な通風と採光を実現】

都心の密集地、道路側に窓を付ければ、道行く人の視線が気になる。交通量が多ければ、窓からの騒音がうるさくてしかたがない。
隣地側に窓を付ければ、お隣さんとのプライバシーが守れない。或いは、お隣の家の壁が見えるだけの窓になってしまう。

こんな難しい立地の場合、パティオの出番です。
周囲からくっきりと切り取られた自分だけの空間、そしてくっきりと切り取られたような自分だけの青空。プライバシーに守られて、防犯にも優れます。自由に窓を開け広げれば、自然の風と光があふれる住まいが出来上がります。

≪キーワード:パティオ、光庭、坪庭、ライトコート≫

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[写真]パティオは住まいの中心、家族が集まって楽しい空間になります。

2.【外部環境と切り離した別世界を作る】

都会ではもちろんのこと、郊外であっても、周囲の環境に影響を受けない空間、或いは、周囲の環境と対比的な環境が作れます。

たとえば、まわりの環境が、退屈で単調な○△○ハウスばかり。或いは、自分の趣味とは相いれない古臭いイメージの環境。そんな環境と縁を切って、室内空間と室外空間を一体的にした、世界に一つだけの自分空間を実現することが出来るのです。

さらに積極的に考えるならば、周囲が自然豊かの環境であっても、内部に造るパティオは都会的なイメージにするとしましょう。そうすれば、外と中で、二つの外部環境を楽しむことが出来るでしょう。

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[写真] アルハンブラ宮殿は、スペイン・グラナダの丘の上に立地しています。そこのパティオでは、周囲の自然から縁を切って、あえて人工的な庭園空間を作り出しています。

■ パティオの効用、現代日本編

効用その1.【室内の延長としての外部のリビング】

パティオは通常、4方、或いは3方を壁に囲まれた外部として作ります。場合によっては、ガラスの屋根をかける事も出来ますね。そんなパティオは、極めて内部的で親密な外部空間になるように作ります。空が見える第2のリビングルームは如何でしょうか?バーベキュー・パーティーも出来ますね。

このように作ると、パティオは自然に住まいの中心になります。家族が自然に集まりたくなる場所です。

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[写真] 手前はダイニングテーブルを中心にした家族の空間、それにつながるパティオ。

効用その2.【パティオをはさんで、つながる空間、広がる空間】

パティオを住まいの中央に作ります。そこには大きなサッシを付けましょう。ガラス越しに、家の向こうの端まで見通せる、広々とした連続空間の出来上がりです。

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[写真] 茶の間から、光庭越しに向こう側の和室まで見通せて、つながり広がる空間を実現。

効用その3.【こっちとあっちの間の距離感をコントロールしよう】

パティオ側に付けるサッシの大きさや位置を調節して、空間の連続感をコントロールしましょう。

パティオのこっちとあっち、リビングとダイニングキッチンなら、大きなサッシでとにかく一体感を。
パティオのこっちとあっち、リビングと祖父母の部屋だったら、声をかけるにちょうど良く、プライバシーも守れる距離感を考えましょう。
パティオのあっちとこっち、リビングと子供部屋だったら、そこそこの独立性とお子さんの気配が分かる距離感にしましょう。

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[写真] 青空を独り占めのパティオ

効用その4.【裏パティオという形も・・・】

裏パティオとは、
洗濯物を干す場所にしたり、
日曜大工などの外部の作業スペースにしたり、
お風呂専用のプライベート・パティオにしたり、
人目を避ける形のパティオ、便利だと思いませんか?

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[写真] パティオに面した、開放的なのに、プライベートなお風呂、窓を開ければ露天風呂気分。

*** 川嶋玄建築事務所の設計事例 ***

⇒ パティオのある家 ~バルセロナの下町にあるような空に向かって開く住宅
⇒ 光庭のある家 ~光を取り入れるためのレイアウト

川嶋玄建築事務所

川嶋玄建築事務所は東京都文京区の住宅設計事務所です。 東京都を始め、埼玉県・神奈川県・千葉県など首都圏を中心に、新築、建替え、リフォームなどの設計、工事監理を行っています。

川嶋玄建築事務所

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